新しい時代の東京へ Reborn

都議会での発言Metropolitan Assembly

英語教育の充実化

関口発言

失われた二十年といわれるほど日本の長期低迷が続き、自信を失いつつある日本。そんな日本の首都としての東京は、日本を引っ張っていく役割と責務があります。東京を強くすれば日本も強くなる。そう願いながら、きょうは東京を強くしていくための質問及び提言を行いたいと思います。  今日、国家間のみならず、都市間での競争が激しさを増し、都市間競争の時代ともいわれます。そうした激しい競争に東京がこれからも勝ち続けていくために、そして、アジアの盟主であり続けるために、私は二つの分野に焦点を当てます。  

まずは教育です。 ビジネスにおける日本の状況を見てみますと、これまで、日本のマーケット規模が大きい分、日本人は日本人相手の商売で十分に稼げた 時代、裏を返せば、競争相手は日本人のみという時代であったと思います。しかし、超高齢少子化が進むことで日本のマーケットが縮小 していく中、いやが応でも海外のマーケットを意識しなくてはなりません。そんな時代において、日本人の競争相手はアジアや欧米のビ ジネスマンであり、彼らと同じ土俵で戦わなくてはなりません。さらに、これからの日本の若者たちにとっては、就職活動の段階ですら 、アジアや欧米の大学生との競争を強いられることとなります。現にパナソニックは、二〇一一年度の新卒採用において八割を外国人に することを決定し、日の丸企業ですら世界レベルでの採用になり始めております。このような環境の中、世界と戦える力の一つとして必 要不可欠なものは、いうまでもなく英語力であります。では、今、日本の子どもたちの英語力はどうなっているのか。アメリカの大学留 学に必要な英語力をはかる一つの基準であるTOEFL、その平均スコアは、二〇〇九年で韓国は八十一点、中国は七十六点であるのに 対し、日本は六十六点と大きく引き離されており、私が知る限り、二十年近くこの状況が続いております。では、これからの日本の子ど もたちにどう英語力をつけていくのか。日本の英語教育に関しては、ようやく今年度より小学校五年生からの外国語授業の必修化が始ま りました。他方、韓国では、今から十四年前の一九九七年に小学校三年生からの必修化、また、中国では、十年前の二〇〇一年に同じく 小学校三年生からの必修化が既に始まっております。韓国、中国と比べて、遅きに失した感がある日本の小学校英語の必修化であります が、とはいえ、日本の教育を前へ前へと進めていくために、教育現場において最大限効果を上げる取り組みが必要であります。私が重要 だと考えるのは、小学校英語と中学校英語との連携です。先日、ある公立小中学校の英語授業を見てまいりました。小学校では、英会話 を楽しむ授業が行われておりましたが、中学校一年生の英語授業でも同じように英会話を楽しむことに終始しておりました。これでは、 中学一年生の英語授業が単なる小学校英語の焼き直しになりかねないと心配します。そこで伺います。小学校から英語必修化が始まった ことを受けて、中学英語が単なる小学英語の焼き直しにならないよう、新しい学習指導要領に示された中学英語のあり方を区市の教育委 員会、そして、現場の教職員に周知徹底していくことが必要であると考えますが、都の見解をお尋ねします。

教育長答弁

関口太一議員の一般質問にお答え申し上げます。まず、中学校における英語教育についてでございます。平成二十四年度から実施される 中学校学習指導要領の教科英語の目標は、小学校外国語活動ではぐくまれた、聞くこと、話すことの素地の上に、読むこと、書くことを 加え、これらの四つの技能を総合的に育成し、コミュニケーション能力の基礎を養うことにございます。このため、都教育委員会は、平 成二十年度から、小学校外国語活動との関連を踏まえつつ、中学生に四つの技能を総合的に育成するための教師用指導資料を作成し、効 果的な指導方法に関する説明会を実施してまいりました。今後とも、区市町村教育委員会の取り組みとの連携を図りながら、中学生に、 より実践的なコミュニケーション能力の基礎を培うため、さらなる指導方法の研究開発や指導資料の作成などを通して、各学校を支援し てまいります。

関口発言

また、小学校での外国語授 業が必修化となったからには、その授業の質がどうであるかが極めて重要です。しかし、小学校教諭の教員試験は簡単な英語力をはかる ものにすぎず、このことからも、そもそも小学校教諭に英語力は求められておりません。現に私が視察した幾つかの小学校でも、担任の 先生と日本語が話せないALTとの間で意思疎通に時間がかかり、授業がとまってしまう場面がありました。小学校英語が必修化された 以上、担任の先生の英語力やALTの活用度合いなどによって、学校間、地域間で英語授業の質に差が生じるという事態は避けなくては なりません。そのために、小学校教諭の英語力を含めた外国語活動の指導力の向上は、まさに喫緊の課題であると考えます。そこで、英 語研修などを強化することで小学校外国語授業の質を上げていく必要があると考えますが、都の見解をお尋ねします。

教育長答弁

次に、小学校外国語活動についてでございます。小学校外国語活動は、児童に、聞くこと、話すことを体験的になれ親し ませながら、中学校や高等学校での英語の学習につながるコミュニケーション能力の素地を養うために設けられた新しい教育活動です。 都教育委員会は、平成二十年度から設置しました小学校外国語活動推進委員会の報告書や指導資料を配布するとともに、すべての小学校 を対象に、これまで外国語活動を指導したことのない教員に対する研修の実施と、その教員を活用した校内研修の促進に努めてまいりま した。今後とも、区市町村教育委員会と連携を図りながら、実施初年度における実態調査を行い、その結果を踏まえ、小学校外国語活動 の趣旨のさらなる徹底を図り、本活動の目的が達成できるよう教員を指導してまいります。